古い物が残っている国~フランスの生地

先日のお客様にご提案させていただいたのは、実はフランスの生地でした。というのも、古いお宅で、現代の家とは趣が随分違いますから。そこに置く家具もおのずと同じベクトルの長さというか、価値のある物を置きたいと思ったのです。

しかしながら、日本には元々椅子の文化が無く、今でも座ってお茶を飲む方がしっくりくると言う方も多く、どちらかというと伝統の生地があるとしたら座布団でしょうか?ですので伝統的な椅子張りの生地というのは基本的に日本には存在しないと思います。

西洋からいろいろな文化が入って来て、(坂本龍馬の時代?)皆、驚いたのではないでしょうか?それも、大衆にまで西洋式の家具が広まるというのは昭和になってからだと思います。(学問的には解りませんが、自分の感覚です。)

それで今回は、東京で、伝統的なフランスの椅子張りを習得されて、椅子張りひとすじで来られた、(株)I.S.U.house上柳の上柳さんのことがすぐに思い浮かびました。

実際、近隣で、この椅子の話をして、鋲をひとつひとつ打ってほしいとお願いしたら「連結した鋲しか扱っていないので無理』と断られた事も有り、さっそく東京へ連絡をさせていただきました。

しかも、フランスの生地を直輸入しておられるので、生地の手配もお願いしました。まず見本を送っていただいて、お部屋に会い、お客様のお好みの生地を選びました。

そして、赤がきれいで大きなお花の生地で椅子を張り替えました。
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途中、2脚が張り上がっているという事で、東京の工房へおじゃましました。
他の職人さん(といっても年期も経験も違うので同じ目線は厚かましい限りですが)
のお仕事場は、いつも楽しいです。
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いろんな道具が有ります。

そして送られて来た椅子を納品させていただきました。
かりんの椅子とかりんのテーブルも含めて、赤っぽい色合いが多いので、赤い生地がお部屋にとけ込み、お客様にも気に入っていただけました。

全体の感じです。
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ディテイルは落ち着いていますが、生地がお洒落なので、楽しい空間になったかなと思います。

古い物を大切に、古い椅子を張り替えて何代も大事に使っているフランスだからこそ、今でもこういう生地が手に入るのでしょう。

日本は、家具の歴史が浅いから・・・と、そんな話から始めたのですが、それにしてもこのままでは、使い捨て文化が日本の文化という事になりはしないか?
そんな心配も頭をよぎります。

この生地は決して安価ではないけれど、椅子6脚分で2m。それを取り寄せるのですから、運賃も掛かりますし、時間もかかります。効率を考えたら、とてもできません。
上柳さんのところでも、生地の輸入代理店さんではこういう一般的でない生地は扱っていないということで、あえて直輸入という方法で仕入れをしていらっしゃいます。
これって、本当に好きでないとできません。

でも、苦労したもの程、出来た時の感激が有るんですよね。

それから、このお部屋を少しモダンにしたくて、ライトもオリジナルで製作してもらいました。

最初のライトはこちら。
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古いお宅の配線はなんだか味わいが有ります。懐かしさとか・・・。

そして、今回お願いして製作してもらったのはちょっぴりモダンなこちらのステンドグラスです。
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私達のお店、ミッチェルディーバーのお向かいで個性的なステンドグラスを製作している工房studio Kaz さんにお願いしました。

追記 下記、(株)I.S.U.house上柳さんのホームページです。http://www.isuhouse.com/index.html