はじまりの森

始まりの森.jpg12年前安曇野に移り住んで、自宅の横に家具工房を建てたものの、私達は最初から家具を作って生活をする自信がありませんでした。それで、元働いていた会社の下請けの設備工事会社として、生計を立てていました。
家具製作は冬の間、工事の仕事が無い時に、お友達に頼まれた家具や、自分の家のキッチンを作るくらいでした。
私達の家のお向かいには工房kazの大須賀さんたちご夫婦が住んでいらして、いつもステンドグラスのランプを製作しておられました。
私達が木を使って何か作るということで、最初に書棚を頼んでくださったのは大須賀さんでした。それから、ランプの下の台を頼んで下さったりして、共同の作品も作らせていただきました。
そして、大須賀さんから同じ松川村在住の版画作家さんで安曇野版画SKY工房の福本さんご夫妻を紹介していただき、版画工房を見せていただいたり親しくしていただきました。
大須賀さんや福本さんがよく行かれていた、安曇野絵本館は、森の中にあって、素敵な場所なので私達もよく行きました。そこに飾ってある、安曇野在住の作家さんのオブジェや絵を見たり、マスターのお話を聞いたり、外国の絵本作家さんの原画を見たり・・・。憧れの気持ちですごすひと時でした。
でも何年かたっても、私達は水道工事に明け暮れていました。
『はじまりの森』という本を安曇野版画SKY工房の福本さんが出されたのは、2001年のことなので、私達にとっては安曇野の5年目になります。
そこには、大阪から安曇野にこられた福本さんの内面の思いや安曇野絵本館でのことが書かれていて私はとても感動しました。その同じ時、2001年秋に、安曇野絵本館で、大須賀さんのステンドグラスと福本さんのシルクスクリーンの「はじまりの森」展が開かれました。
今、どうしてこのことを思い出したかというと、ようやく、家具やキッチンを作ることで生活ができるようになりつつある・・・まだまだですが・・・少なくとも生活しようと決心している自分達が、ここにいるからです。

そして実は、『はじまりの森』の本の中に、福本さんが書いてくれた絵があるんですが、「come here!」という題名のついた絵なんです。
私達の犬、ポンティが小さな赤ちゃん犬だった時、よくリードを放して、森の中を走らせていたのを、福本さんが絵にしてくれた作品です。
comehere.jpg

ゆっくりですが・・・・。
あの頃から、はじまっていたのかもしれないな・・と思います。