エコとTerence Conranの本

エコという言葉を最近は良く耳にする様になりました。
無尽蔵に有る様な気がしていた資源にも限りがあることを身近に感じる様になり、ライフスタイルにもエコということを考えていかなくてはなりません。
そんな今、作り手としてできることは、長く使ってもらえる製品を作って行くことかな?と真剣に考えています。
でもそれは、単に丈夫な物というだけでなく、愛着を持ってもらえる様な、個性的なデザインの製品を作ることじゃないかと私なりに考えています。
私は、壁紙やカーテンの販売もしているのですが、「一般的な無地の物が一番良いですよね。柄物は飽きが来ると言うから・・・。」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
勿論それはその方の感性なのでそれでも良いのですが、私は、その方の雰囲気とかお部屋の雰囲気に合わせて、少し個性のある色柄の物を提案させていただくようにしています。なぜかというと、個性が無くて飽きがこない商品というのは、だれもそれを見ていなくて,飽きがこないというより,インテリアとしては機能していない気がするんです。
つまり、下地を隠してはくれているけれど、そのお部屋の空間作りに寄与するという本来の仕事をしていないというか・・・。
私は、例えば、「この私の好きな壁紙、素敵でしょ?」とか「水色の部屋があるんだけど、そこでお茶を飲むのはどう?」とか、お部屋ごとのテーマを出せて、その家族の個性が引き立つ様な、それがインテリアの役割だと思ってこの仕事をしています。

家具も同じで,ソファーは、生地を張り替えても使い続けられる丈夫さと、なおかつ「この形でこの雰囲気はそう簡単には手に入らないから、とても捨てたりできないよ。」と言ってもらえるもの。勿論、お引っ越しとか、状況の変化で、あるいは個人的に趣味が変わってしまったりということがあっても、じゃあ、「これは人にゆずるだけの価値はあるから、オークションにでも出してみようかな?」と思ってもらえるだけの、個性のある製品。物なんだけど、人間の持つ個性と言うか、キャラというか、それが有って、どうも捨てるのは忍びない・・・と思ってもらえる形。
愛着を人に抱かせる魅力が、インテリアに欲しいです。

そして意外に無難な物より,個性的な物を愛でる傾向が結局お客様の側にも有ると感じることが多いです。不思議ですが・・。
最初は躊躇しておられた方が、「意外と落ち着きますね~。」とか「私らしくなった。」
と言って喜んでくださる時はとてもうれしいです。

terenc1.jpgtere .jpg
ところで、今日ご紹介したいのは、ご存知Terence Conran卿のインテリアの本ですが、この本には、なんと壁紙や、タイルの張り替え方が載っています。
私達はオーダー家具やオーダーキッチンを作っていますが、どうしてもそれらは家のインテリアの一部として存在しますから、壁紙、タイル,床材に合うかどうかがとても気になります。キッチンの壁面のタイルを選ぶとか、床材についてご相談を受けることもあります。そういう時に素材の特性や,施行の方法を全く知らないと困るので、自分たちの家や工房で実際に施行してみます。
それでこの本はとても役立つのです。
それに、エコという切り口から考えても、愛着を持つということで言っても、インテリアのデザインを自分らしくするために自分で手を入れるということは楽しくて良いと思います。
自分で?と思われる方、苦手な方も、こうやって、絵入りで具体的に示されると自分でやってみたくなりませんか?
conran.jpg

家も、修理したり、あるいは中古で購入しても内装を自分らしくすると、愛着がわきます。

家具や、キッチンは、座るとか料理するという機能(お店の厨房機器はそれが中心ですが)だけでなく、インテリアを構成するファクターの一部としての役割を果たしてほしいなと思ってデザインしていますので、どうしても傷がついたり生地が傷んだりします。塗装も薄くなってきます。
そんなとき、修理に出すも良し、思い切って自分で塗装をやり直すのも良し、それが、良いと思うんです。特に木は扱いやすい素材です。しばらく使っていただいて、傷がついたら、けずって、色を塗り直しても大丈夫。同じフォルムでも黒バーションと白バージョンで楽しめます。
そうやって、少しでも長く使ってほしい。皆さんがインテリアを楽しんで、お部屋で過ごす時間が、幸せな時間であればと思います。